みな穂はこのとき進路を明快にしていたらしく、

「通信制の大学に行きながら仕事をする」

 という方向性を固めていた。

「ほら、うち避難民だからお金ないし。学費だけじゃなく、生活費も稼がなきゃいけないしさ」

 あやめにだけ、本心を明かした。

「英美里は少し悩みを抱え込むとこがあるけど、あの明るい優ちゃんがいるから不安はない」

 優子はひなた人間で、

「米食うて気張りゃあ何とかなるけぇ」

 というのが口癖でもある。

「ああいう子がいて良かった」

 やたらと途方も途轍もなく長かった二年であったが、

「これで、ちょっとはリラックス出来るかなぁ」

 藤子ちゃんやったよ、とみな穂は小さく独り言をささやいた。