その『ふりさけみれば』はネットワークの関係で弘前では放送してなかったらしく、
「日頃アニメ見ないけど、藤子ちゃんのは観たかったなぁ」
そうやって優海がぼやくと、
「今度ブルーレイボックス出るから、借りられるよ?」
マヤが言う。
「相変わらずコミケ行ってるの?」
「去年はイベントに出る側だったから、何も買えなかった」
昨年はコスプレイヤーとして撮影会があり、話題性も手伝って盛況ではあったのだが、かなり混み合って何も買えずじまいであった。
「今年こそグッズ買ってやる!」
マヤにはマヤなりの悩みがあったらしい。
その時。
出囃子に乗って出てきたのは、着物姿の一年生メンバーのダーリャこと千葉だりあである。
座布団にチョコナンと座って一礼し、
「ここで一席、お付き合いを願いたく思いますが」
何と始まったのは落語である。
「私たちアイドル部というところにおりますと、駅で立ち食いの蕎麦屋を見掛けたりすることが多数ある訳でございますが」
演目は「時そば」だが、まくらのコロッケそばのくだりは爆笑の連続で、
「ダーリャってあんなに面白かったっけ?!」
普段の大人しいだりあしか知らなかったみな穂には新鮮な衝撃であった。