だけどさ、と英美里は、

「二年生の段階でスポットライト浴びてなかったら、芽はないような気もしなくはない」

 小さくもらした。

 因みに体育祭は土日を使って開催される。

 その初日の昼休み、英美里や優子、香織の二年生メンバー三人が集まって弁当を使っていると、

「英美里!」

 声に英美里が驚いたのも無理はない。

 函館にいるはずの母親が、なぜかいるのである。

「アイドル部なんか辞めて、早く受験勉強しなさい!」

 遊ばせるために札幌の私立に通わせている訳ではない、というようなことを、したたかに放言した。

「あなた、聞いたら主力メンバーじゃないっていうじゃない」

 英美里には痛い箇所を衝いた。