体育祭のあと、二年生のメンバーが修学旅行へ出発した。
新千歳空港から飛行機で関西空港、そこからはまず奈良に入り東大寺や春日大社、薬師寺を見学。
大阪で一泊してからは京都で自由行動となり、夕方の新幹線で京都から新横浜へ。
横浜スタジアムそばのホテルでさらに一泊し、横浜で自由行動のあと新宿駅そばのホテルで一泊、最終日は半日ばかり土産物などを買う時間に充てられ、夕方の羽田空港で新千歳空港へ戻る…という旅程は昔から変わらない。
今では制服でライラック女学院と分かるので、修学旅行でなくても、行く先のあちこちでシャッター音がする。
「雪穂ちゃんがいたときは大変だった」
毎年担当するツアーガイドが話したのは、雪穂やすみれが参加した年のことである。
このとき二条城の駐車場で、
「有澤雪穂だ!」
声がするやいなや、たちまち百人近いギャラリーに取り囲まれてしまい、地元の警察署から、
「もう少し社会的影響力を考えて下さい」
とツアーガイドや担当教諭たちが説教を食らったエピソードが明かされた。
「それで私服OKになったんだ…」
去年からは、私服の持ち込みが許可されている。