夏休みが明け、二学期が始まった。
来月の体育祭と、二年生の修学旅行が終わると、みな穂の部長としての任期は終わる。
「…長かったなぁ」
何しろ一年の秋から、約二年間を部長として活動してきたのである。
「ほぼ翠に振り回されっ放しだったけど、よくやったんじゃないかなぁ」
人をあまり褒めない美波が、珍しくみな穂を褒めた。
例の記者会見でみな穂はすっかり全国区の人気となり、複数の芸能事務所からのオファーが来ている。
しかし。
「私は出来れば、学者になりたいんだよね…」
しかも東大や早稲田ではなく「万葉集を勉強したいから二松学舍とか國學院とかがいい」とみな穂は言った。
理由は、
「だって昔から人間は本質が変わらないから」
と、これまたみな穂は独特である。
八月の末には薫も靭帯の怪我から復帰し、
「これでいつもの部に戻ったね」
ダンスの練習でいつも一緒のさくらが言った。
さくらは帯広にいた小中学校ともにダンス部で、全国大会では準優勝の実績もある。
因みにこのとき。
広島代表のチームの一員として出ていたのが優子で、
「あの子が来たけぇ、アイドル部は安泰じゃね」
などと優子が言うと、それが部内で噂になったほどであった。
前から、さくらのことは話題になっていたらしい。