さて。

 披露宴では余興が始まった。

 担当マネージャーの長谷川カナから、

「歌とダンスは外部活動扱いで、その後のギャラの計算が変わりますから、出来ればそれ以外で」

 という通達が現役メンバーには出されている。

 そのせいか。

 現役メンバーのみな穂と今は副部長の赤橋あやめは、コンビを組んでドリフのヒゲダンスのコントをやった。

「なるほど、コントならギャラは派生しないってことか」

 見ていた乾美波が納得したのも宜なるかなである。

 他方で。

 卒業したメンバーはプロ活動をしているすみれなど以外は制限もないため、服飾専門学校に行った前部長の萩野森唯はアコースティックギターを手にあらわれると、初代部長の澪と組んで得意の『幸福論』をユニゾンで歌ってみせた。

 特に目立ったのは海老原マヤで、ラブライブサンシャインのコスチュームで登場すると、黒澤ダイヤのナンバーを歌ったのだが、

「現役時代よりイキイキしてるね」

 などと、当時進学先の弘前から帰省していた岐部優海(ゆうみ)が言った。