そうかな、とだりあは、
「だけどデートしたあとホテルで脱がされたりしたら、着付け出来ないとある意味地獄だよね?」
私はデートには着て行きたくないなぁ、とアケスケな物言いをした。
「そういう意味で言うとさ、先生みたいな男子なら大丈夫っぽくない?」
確かに清正は着付けが出来る。
スーツのときも、たまに見たことのないネクタイの結び方をしていることがあって、
「いや、気分転換に変えてみたんやけど…」
それ以上に、器用なのだなというのが分かる。
「でも先生はほら、あの通り茉莉江先輩のこと大好きだからさ」
だりあは清正が、茉莉江のための土産を選んでいるところに遭遇したことがある。
「食べ物とグラスを選んでた」
堺町のガラスの売店で、ブルーの夫婦タンブラーを買っていた。
「けど確か最初は茉莉江先輩が、怪我した先生を毎日お見舞いして、片目が見えないから世話してたんだよね?」
右目を負傷して視力を失った清正だが、自分の目よりも茉莉江の安否を気にして医師に訊いた…というところが、茉莉江の心を掴んで離さなかった点であるらしい。
「やっぱり結婚するならちゃんとした人だよねー」
はっきり物を言う香織にかかると一刀両断である。
それでも清正と茉莉江のラブラブな雰囲気は、メンバーの理想の夫婦であったのかもわからない。