話を記者会見に戻す。
結果としてみな穂の会見は、九分九厘ほど成功したといっていい。
「未成年者に記者会見をさせるとは」
という意見もあったが「私が会見したいって言ったから…」とレギュラー番組のラジオで発言したことでそれは消えた。
それ以外は概ね「勇気ある行動」として取り上げられた。
あれだけ校舎前にいたメディアも、部室から見える限りいなくなった。
「勇敢な女子高校生」
ととらえる向きもあれば、
「大人に振り回される可哀相な子」
という見方もある。
「…みんな、あれで良かったのかな?」
みな穂は胸がつぶれそうな思いを抱え込んでいたらしいが、
「うちは、あれでえぇ思う」
真っ先に言ったのは優子である。
「部長が選んだ道じゃけ、うちらは付いてく」
のどかな、それでいて無駄の削ぎ落とされた口調に、
「…ありがとね」
ようやくみな穂は笑顔になった。