ついでながらみな穂は年上のファンや外国人のファンが多く、
「ミドルキラー」
というあだ名まであった。
ストレートの長い髪、少し切れ長気味の眼、濡れたように見える瞳に筋の隆い鼻、気持ちぽってりとしたセクシャルな唇は、よく女子大学生と間違われるほどの大人びた印象すら受ける。
この日も記者の中には、
「ぜひ鮎貝みな穂の取材に行かせて下さい」
と、わざわざ志願して東京から朝イチの飛行機で来た者まであった。
それでいて少しのんびり屋で天然な気があり、スリッパを左右逆に履いてしまったり、マイクを忘れてステージに上がってしまったり…と少しだけドジな面もある。
「そんな部長だから、私たちが守ってあげなきゃって」
メンバーだけでなく、ファンや記者にまで思わせてしまう、魔性のような一面すらあった。
「私そんな魔性の女なんかじゃないし」
みな穂はまるで気が付かず、まるっきりあざとさがないところも、世の中高年に人気のある一因であったともいえる。