本番まであと数分となった。

 里菜を中心に、卒業生メンバーも含めてかなりの数の円陣となった。

「ライラック女学院アイドル部、行くぞーっ!!」

「おぉーっ!!」

 一声気合いを入れ、バックヤードから通路まで歩いた。

 ピッチは隧道の出口のように眩しい。

「…ひまりちゃん、来たよ」

 ひかるはつぶやいた。

 るなは、感極まっていたのか始まる前から泣いていた。

「オープニングから泣いてどないすんねん」

 翔子が軽く頭を小突く。

「さぁ、行くよ!」

 部長の里菜を先頭に、めいめいの衣装を身にまとったメンバーと卒業生たちは、カクテルライトに眩しく白く照らされた芝生のピッチを目指して、一斉に駆け出した。



(完)