そのあとも藤子は優海や千波、リハーサル戻りのののかに会った。

 目で澪を探していた。

「あ、藤子いた!」

 駆け寄ってハグをしてきたのは澪である。

「こないだはグランプリ惜しかったね…」

「でもあれ、グランプリ取ると一発屋で消えるって言われてさ」

 実際のところ、創設されてから活躍できているのは準大賞か最終ノミネートあたりで、グランプリになると一年程度で消えてゆくことのほうが多い。

「じゃあ、藤子はしばらく消えたりなんかしないね」

 澪は冗談を飛ばした。

「私は先生から部を受け継ぐけど、はじめに同好会から作った人間だから、きっとずっとアイドル部に関わるのかなって」

「それこそ澪ちゃんが消えないようにしなきゃならないじゃん」

「それもそうだね」

 変わらない様子で二人は笑いあい語り合った。

 開演前の僅かな時間、雑談をしたり振り付けの確認をしたり、リラ祭のライブの前と変わらないであろう過ごし方をした。