すでに着替えていたのは、みな穂である。
「みな穂が着るとセクシーになるね」
「少しだけサイズが小さいみたいで…」
それでも着ると、身体のラインが綺麗に出て、却って大人っぽいみな穂らしい着こなしになる。
藤子は意外とみな穂が、出るところは出て、くびれているところはくびれている、スタイルのハッキリした姿であることに、初めて気がついた。
「私のこと、みんな分かるかな?」
「こないだネットで授賞式見たから知ってるよ」
日曜日に開かれた授賞式で、
「今回は準大賞に選んでいただきまして、これからはグランプリを目指せということだと、神様から与えられた宿題のようなものかなと思っていますので、もっと書いていきたいと思います」
と述べているのだが、
「悔しさを出さないところが藤子ちゃんだよね」
みな穂は薄々感づいていたのに、敢えて深くは触れなかった。
「藤子ちゃんのはこれね」
例のユニフォーム風衣装の背番号は、藤子がつけていた3番であった。
「これが私の始まりだったんだよなぁ」
藤子は着替えに向かった。