京都の藤子は、寝るときと入浴以外まず外すことのないメガネを、ソファに軽く投げ出した。 手近にあったクッションに顔を埋めた。 声の限りに哭(な)いた。 しかしそれを誰にも悟られまいとして、返信だけはいいことだけを、わざとことさらに明るく振る舞って書いている。 自分でもこんなに泣くことがあるのかというぐらい泣き、やがてスッキリしたのか、 「…さ、書かなきゃ」 パソコン用とは別の机で何やらメモを書いて、 「まずはプロット作ろ」 独り言をもらしながら、ペンを走らせていた。