それでは、とうながされると壁に貼り出された三本の作品名にグランプリは赤いバラ、準大賞の場合は黄色のバラがつけられる。
固唾をのんだ。
「まずは準大賞」
係員が黄色のバラを手にした。
「…あっ!!」
思わず澪が声をあげた。
「準大賞『夢と知りせば』、長内藤子」
作品名の脇に、黄色のバラが咲いていた。
ややしばらく沈黙があって、落胆のため息と同時に、少しづつ拍手がおこった。
「スゴイね…藤子ちゃん準大賞だって」
千波はなぜか涙を流していた。
もうこうなると、他の結果はどうでも良かったらしく、
「とりあえず、藤子にLINEつないでみる」
澪は藤子にメッセージを送信した。