普段は弱音なんか吐かない。

 どこか醒めた眼があって、時にはドライに映ることすらある藤子の冷静さは、作品に対して完璧主義であるがゆえに、一言一句ゆるがせにしないところがある。

 しかし。

 今回はかなり加筆や修正をしてあったからか、きちんとまとまっているかどうか、不安な要素はあったらしかった。

「だから期待しないでね」

 と、みな穂や里菜には伝えてある。

 さらに言えば、本来の藤子の文体であれば簡潔に書けるところを、加筆の段階でかなり伸ばしたりした面も、気にはなっている。