人見知りの激しかった萌々香だが、クラスメイトの菜穂子と打ち解けたことで、少し気質が変わってきた。

 本来の、お菓子作りのときに垣間見せるかいがいしさが少し出始めたのである。

「萌々香さ、ここのダンスの振り付けまた間違えたよ」

「うぅ…」

 何度も薫に指摘され、目には涙を浮かべながらも、食らいついて振り付けを萌々香はマスターしてゆく。

 ときに幼ささえ残って、少し危なっかしい面もあるのだが、

「まるで雪穂みたい」

 澪はかつて雪穂がやっぱり泣きながら練習していたことを萌々香に伝え、

「だからあなたは大丈夫、きっと雪穂みたく上手になれるよ」

「…はいっ!」

 このときの萌々香の笑顔が、澪は無性に可愛くて仕方がなかったようである。