そうした天然娘な由梨香を、理数系で冷静な里菜がときに手綱をさばいたりする。
いつしかしっかり者の里菜、天然な由梨香、要領の良い菜穂子、妹キャラの萌々香は「アイドル部の四姉妹」と呼ばれるようになり、
「この四姉妹でユニット組んで売り出したらウケるんちゃう?」
という翔子の思い付きから実際に活動することになり、頭文字を採った「RIMOKANA」というグループ内ユニットで、のちにデビューを果たすことになるのだが、それはさらに先の話である。
人見知りの激しかった萌々香だが、しばらくするといつも由梨香の陰にいて、チクチク刺繍を縫っている。
「私、同学年だよね?!」
そう言いながら、だがしかし萌々香が休んで来ていなかったりすると、
「あの子、具合い悪いのかな?」
とついLINEで萌々香の安否を確認し、返信が遅いと気が気でなくなったりもする。
結局刺繍で集中して気づいてなかったり、或いは目が疲れて寝ていたり…ということがあって、由梨香は心配のし損で、
「あの子はほんとに世話が焼けるんだから」
そう言いながらも、悪い気はしていないようであった。