部長が決まって引き継ぎが済んだあと、英美里は正式に退部届を出した。

 英美里なりの、ケジメのつけ方であったらしい。

「年末の国立、出ないの?」

 翔子が問い詰めてきた。

「私はひまりを怒りたくないし、なじりたくも罵りたくもない。でも翔子みたいに情熱的になることも出来ない」

 翔子に一年生コンビを支えて欲しい、と言う。

「英美里…それって」

「ひまりをいちばん認めていたのは、翔子だったよね?」

「でも英美里は逃げるん?」

「逃げる…?」

 瞬間、英美里は翔子を平手打ちした。

「…翔子は何も分かってない!」

 翔子は頬に手を当てた。

 ヒリヒリと、心にまで傷を負うたように痛みがある。