ミーティングが終わると、メンバーはそれぞれ練習に散る。
その時みな穂は、
「薫ちゃん、ちょっといい?」
薫を呼び止めた。
「ごめんなさい…希望が、どうしても考えても浮かばなくて」
深々と頭を下げた。
「それは気にしてないんだ」
みな穂は穏やかに言った。
「薫ちゃんのダンスはソロパートでイケるレベルだからね…」
ふと思い出したように、
「確かこのあとカオリンが用紙持ってくるから、その時に私と考えよ?」
みな穂もどうするかを、この段階では決めていなかったらしい。
少し間があって、この日法事で休んでいた香織が、
「お待たせー!」
用紙を持ってきた。
そこには、
「書道パフォーマンス」
とある。
そういえば香織は中学時代、書道部にいたことをみな穂は思い出した。
「それでね、確か薫まだ決めてないってこないだ話してたから、一緒にどうかなって」
薫は目を見開いた。
「私、字は上手くないよ」
「全身で大筆持って書くから、上手いヘタより体幹が大事で、ダンス上手い薫にしか頼めないかなって思ってた」
屈託なく香織が言う。
「みな穂先輩は?」
「…私もやってみようかな」
話は決まったようなものである。