ひかるにすれば、そんなひまりは気高くいさぎよく見えるのだが、同時におぼつかなく、危なっかしくも映る。

「あのさひまりちゃん、これは余計なことかもしれないけど、もし今のことをその人が聞いたら、きっと悲しくなるんじゃないかな」

 ひかるが言った。

「だって、それだけ苦しんでるのが自分が原因だって分かったら、私がその立場なら身を引いちゃうと思う」

「…だろうね」

 ひまりはクレバーなだけに、そんなところまで気づいていたらしい。

「だけどね、この世界はどこに行っても地獄か修羅で、それなら弾丸が飛び交うような中を、走り抜けてゆくしかないのかなって」

 バレた途端ひまりは自害してしまうのではないかという、壮絶な覚悟をひかるは見た気がした。