話を本題に戻す。
リラ祭の演目を決めるミーティングの日、
「みんな、やってみたいことを書き出した用紙は出した?」
みな穂は部員全員に訊ねた。
出されてある希望は、
だりあ→落語
るな・しょーこ・あやめ→バンド
えみり・ゆーこ→お笑い
さくら・ひかる・ひまり→カバーライブ
とある。
みな穂は薫だけ希望を出していないことに気づいた。
「薫、希望は?」
「特に浮かんでこなくて…」
薫は困惑した。
因みに薫は道外組である。
長崎の中学生時代、初めて見た福岡でのアイドル部のライブに衝撃を受け、半年以上も新聞配達のアルバイトをして、費用を貯め受験して突破してきた…という逸話を持っている。
一年生の中ではもっともダンスが上手く、
「振り付けは藤浦に確認して」
などと、二年生あたりからは指示を出されることもある。
ところが。
その薫が、演目を決められないというのである。