しかしアイドル部は恋愛は基本的に厳禁で、発覚したら即日退部で戻ることは許されない。

「もし…バレたら?」

「もちろん知ってる。けど、私は彼を選ぶ」

 そこまでいさぎよく言われては、ひかるは何も言い返せない。

「欲張ったら良くないのも分かってるし、いろんな迷惑がかかるのも分かってる。でも本気なんだ」

 覚悟の据わった人間ほど、強いものはない。

「だからひかる、言うなら言っていいよ。私はそんなことじゃひかるを恨まないし、最悪バレたら、全て私が辞めれば済む話だし」

 ひまりが心底から彼を想っていることだけは、ひかるには痛いほど伝わってきた。

「…分かった。ひまりちゃんに出来る限り協力する」

「それはひかるにまで累が及ぶから」

「ここまで打ち明けられて、ひまりちゃんを裏切るようなことをしたら、それは人間としてどうかと思う」

 ひかるはメカが強いぶん、大切なものが何かも分かっているようで、

「だって仲間は信じるもの、だもんね」

 アイドル部の基本理念を、ひかるは口に出した。

「ひかる…ありがと」

 ひまりは静かに微笑んだ。