澪が久々に見るアイドル部は、メンバーが変わっただけで練習風景は変わらない。

「やっぱり懐かしいな」

 美波の隣に座ると、澪は何やら思い出したことがあったらしく、

「あのとき、美波がいなかったら、美波がかばってくれなかったら、同好会の段階で存在はなくなってたかも知れないね」

 あのときの美波にすれば、それは感情に任せたただの青臭い正義感でしかなかったらしいのだが、

「でも、グッチーの役に立てたのは嬉しかったし、何より私も居場所が出来たから」

 澪のおかげだと謝意を述べた。

「今のメンバーたちも、同じようにここが居場所になるのかな」

「それには何としてでもグッチーが先生になって、戻ったり出来るように残さなきゃ」

「うん」

 澪はリュックとヘルメットを手に取ると、

「そろそろレポート書かなきゃ」

「澪はバイク通学なんだから、事故らないでよ」

「ありがと」

 卒業してすぐ、配達のアルバイトのために二輪の免許を澪は取っている。