優子の中学は、呉から橋を渡った島にある。

「島にしては大きいんじゃけど」

 優子の育った集落は海に面していて、ミカンの段々畑の坂を抜けた先に、優子の実家がある。

「今はミカンでお酒作っとるけど、前は普通に日本酒作っとった」

 確かに建物をストリートビューで見ると、古い造り酒屋の普請である。

「優ちゃん家って初めて見た」

 ひまりは感動を受けたらしく、

「スゴいいい場所じゃん」

 なぜか羨ましがった。