卒業式の日、ラストはいつものライブである。
今回も書き下ろしの『さよならはさりげなく』が披露され、すっかり恒例となったことに安心感を清正はおぼえた。
ひとまず清正は来年も顧問となることが決まり、
「実は今度の四月から、教育実習生と組むことになってやね…」
アイドル部の活動も知ってもらおう──というのである。
「実はまだまだ誤解もされとってやね」
今だに清正をアイドルヲタクだと思い込んでいる者すら、世の中にはいるらしかった。
「確かにみんなからもらったグッズがあるから、一見したらヲタク御殿みたいになっとるけど、よそのスクールアイドル知らんのよ」
なので外から人を入れて見てもらおう、といったことであったらしい。
アイドル部としても清正以外の大人といえば夫人の茉莉江と長谷川マネージャー、あとは成人式を過ぎたコーチの美波ぐらいである。
「始業式のあとぐらいにハッキリするから、まぁそのときには分かると思う」
英美里と優子には優先的に伝えておいた。