それだけに、
「メンバー選考に落ちても不満が出ない」
という実力主義は徹底されている。
しかも。
メインの歌唱やダンスで主力メンバーとなれなくても、進路では芸能が全てではない…という、先輩たちの歩みがあるので、視野の狭い事態にはなりづらい。
現に。
初期からいる美波のようにコーチをしたり、澪や優海のように進学したり、千波のように公務員となったり様々である。
話を一年生に振り戻す。
一芸で入ったメンバーには、クラリネットを吹ける翔子のように、楽器のできる者もあった。
二年生には、るなのようにギターの弾ける者もある。
こうした中、たとえダンスが上手い薫やさくらのようなメンバーでも、不安を感じない日はなかったかも分からない。
そのようなメンバーの頼れる存在がみな穂で、
「私だって大したことないけど、努力すれば裏切らないって信じて頑張ってきたし」
と、分け隔てなく接していた。