すると、カレンダーとにらめっこしながら探していた翔子が、
「…よっしゃ!」
女子高生らしからぬ雄叫びを上げた。
「これは盲点やったわ」
指をさして示したのは、なんと十二月二十五日である。
「…空いてる」
天皇杯の決勝の直前ながら公式練習は終わっていて、しかしピッチにステージは組めない。
「ステージ組めないのに…」
「せやったら、うちらがユニフォーム着て、芝生傷めんようにピッチ用の靴穿いて、オケ流して歌ったらえぇやないの」
すべてを逆手に取った発想に、るなだけでなく長谷川マネージャーまで仰天したが、
「ユニフォーム風の衣装にすれば企画も簡単やん?」
翔子は鬼の首を取ったかのような顔をした。
「一応ダメ元で照会はしとくで」
こうなると翔子のほうが動きは断然早い。
「カナやん、あと頼むで」
日頃カナやんと翔子に呼ばれていた長谷川マネージャーは、完全に迫力で翔子に負けてしまっていた。