るなは翔子に、
「ショコタン、ありがと」
でも、とるなは申し訳なさそうに、
「さすがに国立は無理があるのかなって…」
「あのなぁ…うちが闇雲に言うと思う?」
どうやら翔子には翔子なりの算段があったようで、
「ああいう場所ってたいがい一週間単位でステージとかフィールド貸すねん。キャンセルなり、メンテなりで三日だけとか一日だけとかみたいな、隙間狙ったらええねん」
中学時代、クラリネットの演奏会でコンサートホールによく出入りしていた翔子らしい着眼点ではある。
「でも大丈夫かなぁ」
「少し先には、なるかも知れへんけどな」
うちらの卒業までに一日でも空いてたらええんやけど、というと翔子はパソコンで予約状況を覗いてみた。