宗田くんに手を引かれて、廊下脇の非常階段の踊場へ行く。
滅多に使う人がいない上に、扉を開けないと入ることができない。
それをいいことに、宗田くんは綺麗な壁ドンをやってのけた。

マジか。
壁ドンってほんとに存在したんだ。

宗田くんの顔が近くて心臓が跳ね上がった。
真剣な表情に、思わず身構えてしまう。

「ようやく素直になったんだ。だったら、俺の気持ちも素直に受け取ってよ。何を誤解してるのか知らないけど早川は関係ない。前も言ったけど、俺が好きなのは真知だけだよ。」

ここにきて名前呼びとか、私を殺す気ですか。
もう、張り裂けんばかりにドキドキしてしまう。

「一途な俺、惚れるだろ?」

惚れるとか、ね、もう、ね。
私が返す言葉は一つしかないのだ。

「うん…んっ。」

頷こうとする前に、唇を塞がれた。
いきなり激しくて、それだけ私が求められていたことが伝わってくる。

だけどもう勘弁してください。
激しい動悸と息切れで身が持ちません。

しかもここ、社内だからね!

ジタバタしてみたけど、塞がれた唇はしばらく解放してもらえなかった。