陽も落ちてきてお開きとなった。

最寄り駅まで可憐ちゃんと宗田くん、小田くんと一緒だ。
公園を出てもあちらこちらに桜が咲いていて、駅までの道すがら夜桜を楽しんだ。

小田くんは相変わらず可憐ちゃん狙いなのか、終始絡みまくっている。
可憐ちゃんも嫌だったら断ればいいのに、調子よく合わせている。
もしかして嫌じゃないのかな?

手持ちぶさたな私は、宗田くんと並んで歩く。
さりげなく宗田くんが車道側に来てくれる。
別に何も言わないけれど、そういう気遣いは心臓に悪い。
守られてる感があって、きゅんとしてしまう。
そんなことを考えてしまう自分が何だか恥ずかしくて、私は桜を見上げながら当たり障りのない会話をする。

「桜綺麗だね。夜桜も素敵。」
「桜も綺麗だけど、仁科も綺麗だよ。」

突然熱っぽい視線を向けられ、私は仰け反るくらい動揺した。

「なっ、えっ、あ、ありがとう。」
「うん。」

私の動揺なんてお構いなしな宗田くんは、おもむろに手を繋いできた。
あったかい大きな手に包まれて、いやいやダメだろ、なんて頭では思っているのに拒めない。

可憐ちゃんと小田くんは私たちの前を歩いているから、気付いていないようだ。

心臓がドキドキと激しく打つけれど、これはときめいてドキドキしているのか、バレないかひやひやしてのドキドキなのか、判断がつかなかった。