「あったね、そんなこと! 私はあれかな、家で持ち寄り女子会しようってなったときに、充希がサキイカとかチータラとか、おっさんぽいものばっかり持ってきたときかな。千鶴はマカロンだったのに」
「ぎゃー!」

 忘れかけていた思い出を無理やり引き出されて、悲鳴をあげる。

「なんであれで隠せてるって思えるのか不思議だったよ」
「まあ、そこが充希だしね」

 本当に、自分でもそう思う。それだけのことをやらかしておいて、能天気でいられた自分が信じられない。

「……ってことは、千鶴も? 知ってたの?」
「当然。みんな黙っててあげただけ。充希がキラキラ女子に見られたがっているのは知ってたし、実際見た目に関しては努力してたからね」
「それで化粧品会社に就職を決めたんだから、大したもんだよ」
「祐子、京香……」

 まぶたが熱くなって、目頭がうるんできた。
 今日はいろいろあったけど、こうして友情を再確認できたことだけは、高木さんたちに感謝しないと。

 五年彼氏がいなくても、友達に恵まれたことは幸運だったなと、十月の月を見ながらそう思った。