「高木さん。その前に、言っておきたいことがあるんです」
「え、なに?」
「私、ほんとはお酒弱くなんてないんです」
「えっ……? どういうこと?」
「あれは、たまたまノンアルコールカクテルを頼んだだけで……。誤解させたままですみません」
思い出したのだ。塩見くんは、私がお酒好きでも引いたりしなかったし、自分は飲めないのにいつも『楽しい』と私に付き合ってくれる。油揚げを焦がした惨状を見ても、『家庭的じゃない』なんて言わなかった。
もし、自分を隠したまま今後高木さんと会ったとしても、それは本当の私じゃないんだから意味がない。
そして、素でいられる場所はひとつあれば、今は充分だってこと。
「私、家では干物女だし、お酒も大好きだし、料理も苦手なんです。女らしくしているのは見た目だけなんですよ。だから、高木さんの好みではないと思います。……ごめんなさい」
頭を下げて、呆然としたままの高木さんに背中を向ける。
「お待たせ、帰ろっ!」
待ってくれていた祐子と京香に駆け寄ると、ふたりは「よくやった、充希」「ブーケを取ったときくらい、かっこよかった」と背中を叩いて健闘を称えてくれた。
「え、なに?」
「私、ほんとはお酒弱くなんてないんです」
「えっ……? どういうこと?」
「あれは、たまたまノンアルコールカクテルを頼んだだけで……。誤解させたままですみません」
思い出したのだ。塩見くんは、私がお酒好きでも引いたりしなかったし、自分は飲めないのにいつも『楽しい』と私に付き合ってくれる。油揚げを焦がした惨状を見ても、『家庭的じゃない』なんて言わなかった。
もし、自分を隠したまま今後高木さんと会ったとしても、それは本当の私じゃないんだから意味がない。
そして、素でいられる場所はひとつあれば、今は充分だってこと。
「私、家では干物女だし、お酒も大好きだし、料理も苦手なんです。女らしくしているのは見た目だけなんですよ。だから、高木さんの好みではないと思います。……ごめんなさい」
頭を下げて、呆然としたままの高木さんに背中を向ける。
「お待たせ、帰ろっ!」
待ってくれていた祐子と京香に駆け寄ると、ふたりは「よくやった、充希」「ブーケを取ったときくらい、かっこよかった」と背中を叩いて健闘を称えてくれた。