新郎友人のバンド演奏があったり、メッセージビデオが流されたりして、二次会は終始ほがらかな雰囲気で終わった。千鶴と写真を撮ったりしているうちに、高木さんたちのグループとはバラバラになれたのが助かった。
お開きになるころには、さっきの出来事は心のすみっこに追いやられていたし、いい思い出で今日一日を締めくくろうとしていた。
だけど――。
「待って、充希ちゃん」
引き出物とブーケで両手をいっぱいにして、ドレスにコートを羽織って会場を出たとき。駐車場で後ろから、高木さんに声をかけられた。
「高木さん……」
外はすっかり真っ暗になって、会場から漏れる灯が逆光のように高木さんを照らしている。
「よかった、充希ちゃんが帰る前に気づいて。えーっと、さっき言えなかったことなんだけど……」
一緒に駅に向かう予定だった祐子と京香は、少し離れて――でもちゃんと会話が聞こえる位置で待ってくれている。
「あのさ、よかったらなんだけど、連絡先を交換しない? 俺、もっと充希ちゃんと話してみたくて」
はにかみながらスマホを取り出す高木さんに悪意は感じられなくて、本当だったら胸がときめくシーンなのだと思う。
なのに私は、まるで第三者のような気持ちで目の前の人を眺めていた。
お開きになるころには、さっきの出来事は心のすみっこに追いやられていたし、いい思い出で今日一日を締めくくろうとしていた。
だけど――。
「待って、充希ちゃん」
引き出物とブーケで両手をいっぱいにして、ドレスにコートを羽織って会場を出たとき。駐車場で後ろから、高木さんに声をかけられた。
「高木さん……」
外はすっかり真っ暗になって、会場から漏れる灯が逆光のように高木さんを照らしている。
「よかった、充希ちゃんが帰る前に気づいて。えーっと、さっき言えなかったことなんだけど……」
一緒に駅に向かう予定だった祐子と京香は、少し離れて――でもちゃんと会話が聞こえる位置で待ってくれている。
「あのさ、よかったらなんだけど、連絡先を交換しない? 俺、もっと充希ちゃんと話してみたくて」
はにかみながらスマホを取り出す高木さんに悪意は感じられなくて、本当だったら胸がときめくシーンなのだと思う。
なのに私は、まるで第三者のような気持ちで目の前の人を眺めていた。