祐子のしたいことはわかる。私だって、彼氏がいない友達がいて、目の前に独身の素敵な男性がいたら、お節介を焼こうとしただろうから。
 ただ今は、その親切がありがたく感じられない。

「充希ちゃん、祐子ちゃんも。こっちでしゃべろうよ」

 話し込んでいた私たちを、高木さんが手招きする。

「だってさ。行こう、充希。なるべくたくさん話してみなよ。そのうち好みの部分が見つかるかもしれないじゃない。あ、あと、新郎友人の中では、あの一番背の高い人もまだ独身だって」
「調査が早い……」

 祐子には長年付き合っている結婚秒読みの彼氏がいるから、私のために訊いてくれたんだってわかってる。
 その気遣いを無下にするわけにもいかないから、話題に興味を持つ努力くらいはしてみよう。

 高木さん以外の新郎友人たちも、明るく盛り上げ上手で、そつなく会話が進んでいく。千鶴の旦那さんの友達がみんないい人ということは、千鶴の旦那さんもいい人ってことだよね、と安心していたときだった。

「あ、充希ちゃん。おかわり持ってくる? またノンアルコールがいいかな?」

 飲み終わったシャーリーテンプルに目を留めた高木さんが、私のグラスをさっと手に取る。