「ああ、だからみなさん体格がいいんですね」
「いえ、これでもしぼんできたんですよ。新郎なんて、現役時代はもっとムキムキでしたから。あのときの体型だったら入る衣装がなくて大変だったんじゃないかな」

 高木さんは、明るく壁を作らない雰囲気で、話しやすかった。礼儀正しいし、きっと仕事もできる人なんだろう。

「あ、グラス空いてますね。おかわり持ってきます、なにがいいですか?」

 カクテルを飲み終わったことにも、こうして気づいてくれるし、なかなかスマートだ。

「じゃあ、シャーリーテンプルを」
「了解です」

 ふたりぶんのグラスを持って、高木さんがバーカウンターに歩いていく。こんなふうに女性扱いされて、リードしてもらうのは久しぶりなため、なんだかくすぐったかった。

「あの、敬語やめません? 千鶴と旦那さんが同い年ですし、私たちもきっとそうですよね」

 戻ってきた高木さんに、そう提案してみる。

「言われてみればそうだね。じゃあ、ここからは遠慮なく」

 さらっとそう返され、もしかしてこちらから言い出すのを待っていてくれたのかなと感じた。高木さん、行動がモテ男のそれだ。

「カクテル、ありがとうございます」とお礼を述べてグラスに口をつけると、
高木さんが私の様子をじっと見ていた。