「今日は先輩の快気祝いなので、私がおごります! なんでも好きなもの頼んでください」
おなじみのビルの屋上。最後の週ということでにぎわっているビアガーデンの席に着くと、久保田がそんなことを言い出した。
「え、快気祝いって?」
きょとんとして言い返すと、「自分のことなのに忘れちゃったんですか」と呆れた顔をされた。
「先輩、ちょっと前、体調崩してたでしょ。ランチ断って、おかゆ食べたりしてたし」
「えっ、気づいてたの?」
だれもなにも言ってこないから、うまく隠せていたと思っていた。気を遣われて仕事量を減らされるのが嫌だから、ちょっと体調が悪いくらいだと平気な顔をするクセがついているのだ。
「そりゃ気づきますよ。先輩ってそういうの隠したいタイプだから、黙っていただけです。本当はみんな、心配してたんですよ」
「そうだったの……」
気を遣われるのは嫌だけど、心配されたくないわけじゃない。いつもひとりで突っ走ってしまう私だけど、まわりはちゃんと見てくれているんだ。
会社でもちゃんと、優しい目線に守られているんだってこと、久保田のおかげで気づけた。
おなじみのビルの屋上。最後の週ということでにぎわっているビアガーデンの席に着くと、久保田がそんなことを言い出した。
「え、快気祝いって?」
きょとんとして言い返すと、「自分のことなのに忘れちゃったんですか」と呆れた顔をされた。
「先輩、ちょっと前、体調崩してたでしょ。ランチ断って、おかゆ食べたりしてたし」
「えっ、気づいてたの?」
だれもなにも言ってこないから、うまく隠せていたと思っていた。気を遣われて仕事量を減らされるのが嫌だから、ちょっと体調が悪いくらいだと平気な顔をするクセがついているのだ。
「そりゃ気づきますよ。先輩ってそういうの隠したいタイプだから、黙っていただけです。本当はみんな、心配してたんですよ」
「そうだったの……」
気を遣われるのは嫌だけど、心配されたくないわけじゃない。いつもひとりで突っ走ってしまう私だけど、まわりはちゃんと見てくれているんだ。
会社でもちゃんと、優しい目線に守られているんだってこと、久保田のおかげで気づけた。