「夏にニンニク、シソ、キムチの組み合わせは最強ね。こんなすごいメニュー、塩見くんが考えたの?」
「いえ、以前宇都宮に行ったときに食べた三色餃子をアレンジしたんですよ。それまで僕、シソが苦手だったんですが、餃子に入れれば食べられることがわかって。それからは、苦手な食材でも工夫して取り入れるようになったんです」
「苦手な食材でも……か」

 ビールが飲み終わって餃子も残り少なくなったころ、ご飯と汁物が〆に出てきた。

 鶏ガラスープで出汁をとったという中華スープは、仕上げにラー油がちょろっと垂らされていた。

 ご飯といっしょに餃子を食べていたら、今度はほっこりした気持ちになってきた。じっと三色餃子を見ていると、頭の中にふわふわと浮かんでくるものがある。

「今進めているクリスマスコフレの企画、最後のアイディア出しの段階なんだけど、塩見くんの餃子の話のおかげでなにかつかめたかも」

 何種類か出すコフレのひとつ、三色セットのミニリップ。私は思い切ったトレンド色も入れるように提案していたのだが、『使いづらいのでは』という反対意見もあってまとまらずにいた。