「それをおつまみにして、もう少し待っていてくださいね。メインはもっとすごいの、作りますから」
「ちょっと。これだけでもおいしそうなのに、そんなこと言われたら待ちきれなくなっちゃうじゃない!」
「そんなに時間は取らせませんから。僕もお腹すいているので、早く食べたいし」
「そ、そうよね。……ごめんなさい、作ってもらっているのに」
罪悪感から素直に謝ると、塩見くんは苦笑しながら口元を拳で隠した。
「いえ、それだけ楽しみにしていただけたら料理人冥利につきます」
「今さらだけど、なにか手伝う?」
油揚げを黒コゲにする女には、キッチンに立ってもらいたくないよなあ――と思いながらもいちおう尋ねると、塩見くんはなにかを思いついたようだった。
「ああ、それだったらやってもらいたいことが。下準備が終わったら呼びますので、それまではゆっくりしていてください」
詳しくは説明しないまま塩見くんはキッチンスペースに戻ってしまったが、私ができるような手伝いなんてあるのだろうか。いや、今はそんなことより、目の前の焼き枝豆だ。
手に油がつくのも気にせずに、形よくふくらんだ枝豆を手に取る。そして直接さやに口をつけて、中の豆を吸い出した。
「ちょっと。これだけでもおいしそうなのに、そんなこと言われたら待ちきれなくなっちゃうじゃない!」
「そんなに時間は取らせませんから。僕もお腹すいているので、早く食べたいし」
「そ、そうよね。……ごめんなさい、作ってもらっているのに」
罪悪感から素直に謝ると、塩見くんは苦笑しながら口元を拳で隠した。
「いえ、それだけ楽しみにしていただけたら料理人冥利につきます」
「今さらだけど、なにか手伝う?」
油揚げを黒コゲにする女には、キッチンに立ってもらいたくないよなあ――と思いながらもいちおう尋ねると、塩見くんはなにかを思いついたようだった。
「ああ、それだったらやってもらいたいことが。下準備が終わったら呼びますので、それまではゆっくりしていてください」
詳しくは説明しないまま塩見くんはキッチンスペースに戻ってしまったが、私ができるような手伝いなんてあるのだろうか。いや、今はそんなことより、目の前の焼き枝豆だ。
手に油がつくのも気にせずに、形よくふくらんだ枝豆を手に取る。そして直接さやに口をつけて、中の豆を吸い出した。