土曜日は昼まで寝て、あとは家でだらだらすることに決めている。そうすれば、金曜日はなにを食べてもどれだけ飲んでも大丈夫だから。

「じゃんじゃん使っちゃって大丈夫。外出する予定なんてなんにもないもの」

 グラスに口をつけて、ひらひらと手を振りながら答えると、塩見くんは「了解です。なら、思う存分腕をふるえますね」とうれしそうに返した。

 そうして、ジャッジャッとフライパンをふるう音が聞こえてきてすぐ、私の前に「おまちどうさまです」とお皿が出された。

「えっ、もうできたの!? 早くない?」
「あんまり時間がかかっていたら、先輩、飲み終わっちゃうでしょう。これは突き出しみたいなものです。焼き枝豆ですよ」
「焼き枝豆……」

 お皿に山盛りになった、さやつきの枝豆。その表面はみじん切りのにんにくとごま油でテカテカしていて、ところどころに鷹の爪も見える。茹で枝豆と違うのは、枝豆自体に香ばしい焼き色がついているところだ。

「……おいしそうね」

 ごくっと唾を飲みこむと、塩見くんがくすっと笑った。