「でも、まいったな。あとで一緒に買いに行けばいいと思って、クリスマスプレゼント、用意していませんでした。……そうだ、ちょっと待ってください」

 キッチンに向かった塩見くんが用意してくれたのは、温め直したチーズと、角切りにされたアボカド、少し炙ってあるプチトマト。

「お詫びといってはなんですけど……。チーズフォンデュ用にクリスマスカラーの野菜を用意してみました。食べてみてください」

 もう胸がいっぱいなんだけど、食べられるかしらと心配になりつつも、チーズを絡めたプチトマトを口に運ぶ。

「んんっ、おいしい」

 炙られた皮から熱々の中身がぷちっと出てきてチーズに絡み、トマトソースのパスタみたいな味がする。

「こ、こっちも……」

 次に食べたアボカドは、まったりした食感にチーズがすごくマッチして、クセになりそうなおいしさ。すっきりした白ワインに合いそう。
これもおいしい、こっちもおいしいと言いながら次々とパクつく私を、塩見くんはうれしそうに眺めている。

 せっかくロマンチックな雰囲気になったのに最後は食い気に戻る。でもそれが私たちらしくて、なんだか愛おしい。

 そして私は、大好きな年下の――できたてほやほやの彼氏に向かって、こう叫んでいた。

「やっぱり、塩見くんのおつまみは最高!」


 ~END~