一人称が変わって、敬語が取れている。きっとこれが彼の素なのだろう。それを引き出せたことに満足して、今度は私からキスをする。
一生分の口づけを交わしあったような甘い時間が終わったあと、私たちはくすくすと笑い出していた。
二十八歳にもなって、ここまで来るのにどれだけ時間がかかったのだろう。最初の出会いから最悪な姿を見せていたし、そのあともかっこ悪い部分ばかり晒している。
スマートな大人の恋愛じゃないかもしれないけれど、こんなカップルがいてもいいはず。
「……あ、そうだ私、塩見くんにプレゼントがあるの」
「え、なんですか?」
「うーんと……。はい、これ」
ごそごそとトートバッグをあさって、お菓子の入ったサンタ長靴を差し出す。塩見くんはぷっと噴き出すと、「ありがとうございます」と受け取ってくれた。
実はお菓子の一番奥、長靴の底に、小さく折りたたんだメモが隠してある。
告白できなかったときのための保険として、『塩見くんが好きです』というメッセージを仕込んでおいたのだ。
お菓子が食べ終わるころに、気づいてびっくりしてくれるかな。そのときの塩見くんを想像すると、顔がにまにましてくる。
一生分の口づけを交わしあったような甘い時間が終わったあと、私たちはくすくすと笑い出していた。
二十八歳にもなって、ここまで来るのにどれだけ時間がかかったのだろう。最初の出会いから最悪な姿を見せていたし、そのあともかっこ悪い部分ばかり晒している。
スマートな大人の恋愛じゃないかもしれないけれど、こんなカップルがいてもいいはず。
「……あ、そうだ私、塩見くんにプレゼントがあるの」
「え、なんですか?」
「うーんと……。はい、これ」
ごそごそとトートバッグをあさって、お菓子の入ったサンタ長靴を差し出す。塩見くんはぷっと噴き出すと、「ありがとうございます」と受け取ってくれた。
実はお菓子の一番奥、長靴の底に、小さく折りたたんだメモが隠してある。
告白できなかったときのための保険として、『塩見くんが好きです』というメッセージを仕込んでおいたのだ。
お菓子が食べ終わるころに、気づいてびっくりしてくれるかな。そのときの塩見くんを想像すると、顔がにまにましてくる。



