「じゃあやっぱり、先輩は僕と一緒にいるべきです」
「そ、そうなるの、かも」
「じゃあ、決まりですね」

 両手をつかまれて、塩見くんのキレイな顔が近づいてくると思ったら、あたたかくてやわらかい唇が口づけられた。

 キスしたまま、塩見くんの大きい手は私の後ろ頭に移動して、逃げ場をなくす。

 こんなキスをしてくれる王子様をずっと待っていたようにも、知らなかったお伽話のようにも思える。ドキドキして、少し怖いのに離れたくない、不思議な気持ちで頭がぐるぐるする。

 自然と私は、両手を塩見くんの背中に回していた。

 長いキスが続いたあと、お互い顔を見合わせる。切なげに私を見つめる塩見くんの表情は色っぽくて心臓が壊れそうだ。私は今、どんな顔をしているのだろう。想像もつかない。

 しばらくおあずけにしようと決めたのに、好きの気持ちが胸の奥からあふれ出して、止められない。

「塩見くん。……大好き」

 そうつぶやくと、塩見くんは息をのんで、私を抱きしめた。

「俺も、充希が好きだ」