「ちょ、ちょっと待って。後輩の子の告白の返事はどうしたの?」
「断りましたよ、その場で。それでもしばらく考えてくれって粘られたんですけど、旅行のあとにもちゃんとお断りしました」
「な、なんでそれをすぐ教えてくれなかったの?」
「先輩にも、少しは僕のことで悩んでほしくて」
にっこり微笑む塩見くんの背後に、悪魔のしっぽが見える。
ここ一か月、私が悩んできたことは、塩見くんにはお見通しだったということなのか。
「で、でも、私、四つも年上なんだよ。いいの?」
「さっき言ったじゃないですか。生きてきた年月の差なんて大したことじゃないって」
「それ、鶏肉の話じゃなかったの!?」
「人間だって同じです。その人の持ち味が大事なんですから」
驚く私に、塩見くんはしれっと言い放つ。
「も、もしかして、私が年齢のことを気にしてるって知ってて、タンドリーチキンを二種類用意したの……?」
「さあ、どうでしょう」
これは絶対、確信犯だ。こういうまどろっこしい伝え方を、黒塩見くんだったら絶対にやる。
「断りましたよ、その場で。それでもしばらく考えてくれって粘られたんですけど、旅行のあとにもちゃんとお断りしました」
「な、なんでそれをすぐ教えてくれなかったの?」
「先輩にも、少しは僕のことで悩んでほしくて」
にっこり微笑む塩見くんの背後に、悪魔のしっぽが見える。
ここ一か月、私が悩んできたことは、塩見くんにはお見通しだったということなのか。
「で、でも、私、四つも年上なんだよ。いいの?」
「さっき言ったじゃないですか。生きてきた年月の差なんて大したことじゃないって」
「それ、鶏肉の話じゃなかったの!?」
「人間だって同じです。その人の持ち味が大事なんですから」
驚く私に、塩見くんはしれっと言い放つ。
「も、もしかして、私が年齢のことを気にしてるって知ってて、タンドリーチキンを二種類用意したの……?」
「さあ、どうでしょう」
これは絶対、確信犯だ。こういうまどろっこしい伝え方を、黒塩見くんだったら絶対にやる。