そのあとは、照れくさい気持ちもあってすぐにその場を去ってしまったし、自分がしたことさえ、忙しい毎日の中でだんだんと記憶が薄れていったけれど……。
「塩見くんはずっと、覚えてくれていたんだね」
きゅうっと、胸の奥がつかまれたように切なくなる。私が忘れていた思い出を、塩見くんは宝物のように持っていてくれた。
「先輩にとっては他愛もない会話だったかもしれないですけど、僕にとっては気持ちが救われるくらい、大きな出来事だったんです」
「そんな、大げさな」
「大げさなんかじゃないですよ。先輩の気持ちといちごミルクの甘さに、僕は救われたんです。自分には向いていないかもと悩むくらいなら、あの先輩くらい努力して結果を出そうと、気持ちが変わるくらいに」
そこから私が塩見くんの中で『憧れの先輩』になっていったと語ってくれた。同じアパートに住んでいることに気づいたり、海老沢くんに私のことを話していたのも、このすぐあとのことだとか。
感傷に流されそうになっていたが、肝心な問題があったことを思い出した。
「塩見くんはずっと、覚えてくれていたんだね」
きゅうっと、胸の奥がつかまれたように切なくなる。私が忘れていた思い出を、塩見くんは宝物のように持っていてくれた。
「先輩にとっては他愛もない会話だったかもしれないですけど、僕にとっては気持ちが救われるくらい、大きな出来事だったんです」
「そんな、大げさな」
「大げさなんかじゃないですよ。先輩の気持ちといちごミルクの甘さに、僕は救われたんです。自分には向いていないかもと悩むくらいなら、あの先輩くらい努力して結果を出そうと、気持ちが変わるくらいに」
そこから私が塩見くんの中で『憧れの先輩』になっていったと語ってくれた。同じアパートに住んでいることに気づいたり、海老沢くんに私のことを話していたのも、このすぐあとのことだとか。
感傷に流されそうになっていたが、肝心な問題があったことを思い出した。