「塩見くん、これはどうして分けてあるの?」
「実は肉の種類が違うんですよ。あとで答え合わせしますから、どっちも食べてみてください」

 二種類のタンドリーチキンとは、面白い趣向だ。

「うーん、じゃあ、こっちのほうから」

 タンドリーチキンは、スパイシーな中にもまろやかさがあって、本格的な味だった。インドカレー屋さんのものよりマイルドで、私はこっちのほうが好みかも。

「おいしい! こうやって骨付き肉にかぶりつくと、肉を食べてる特別感があっていいわね」

 肉の種類については詳しくないけれど、ふだん食べている鶏の手羽元に近い。ただ、より歯ごたえがあってぷりぷりしている気がする。

「じゃあ次はこっちね」

 二種類目のタンドリーチキンは、味付けこそ同じだけど、風味と食感が違った。歯ごたえはないけれど、しっとり柔らかい肉で、味に深みがある。

「先輩は、どっちの肉が好きでした?」

 味自体は二番目のほうが濃かったけれど、ぷりっとジューシーな一番目も捨てがたい。どちらを選ぶかと言っても、そのときの気分や料理に合うほうで決まりそう。