「あ、このスパークリングワイン、おいしいです。ほんのり苺の風味がして」
「ほんとだ。ストロベリーシャンパンをイメージしてるのかしら」
「そうかもしれませんね。どうせだったら、苺、入れてみます? ちょうど冷蔵庫にあるので」
「ほんと? やってみたいわ」

 塩見くんの用意してくれた苺を丸ごとスパークリングワインに入れると、苺からしゅわしゅわと細かい泡が出てきた。グラスが泡で満たされて、高級なシャンパンみたいに見える。

「映画で見たことはあるんですけど、本当に苺から泡が出るんですね」
「色もロゼだから、すごくキレイね。なんだか贅沢な気分。ノンアルコールでも充分おいしいわね」

 最初はカプレーゼをつまみ、チーズフォンデュに移る。チーズをたっぷりつけたバゲットは、ホットワインとの相性がバツグンだった。

「数種類チーズが入っているからかしら。クセがなくて食べやすいわ」
「パンじゃなくて野菜をつけてもよさそうですよね。プチトマトとか、アボカドとか」
「ああ、それもおいしそう……」

 そして最後はタンドリーチキン。なぜか、ふたつのお皿に分けて盛り付けられている。