隣の部屋のドアを開けて先に玄関に上がった塩見くんが、スリッパを出してくれる。

「どうぞ」
「お、おじゃまします……」

 当たり前だけど、塩見くんの部屋は私の家と同じ間取りだった。

「適当に座っていてください。あ、今ビール用のグラス出しますね」
「あ、ありがとう」

 同じ間取りだけど、インテリアが違うだけでだいぶ違う雰囲気になるんだな。

 観葉植物多めの、アイアンウッド家具で統一されたリビング。カーテンやクッションはどれもモノトーンと緑を基調にした、控えめな柄物だ。

「塩見くんは、北欧ファブリックが好きなの? 布系がどれもそうだから」

 食器棚に手を伸ばす塩見くんに声をかけると、首を傾げていた。

「え、北欧……? そうなんですか? 家具屋で好みのものを揃えていたら自然とそうなっていただけで、意識したことはありませんでした」

 なるほど、選ぶものが自然にオシャレなものになるタイプなのか。うらやましい。

 インテリアだけ見たらモデルルームのようなオシャレな部屋だけど、読みかけの本や雑誌がローテーブルにあってほどよく生活感を感じるし、なんだか落ち着く。塩見くん本人みたいに、威圧感のない部屋だからだろうか。

 ベッドはないから、リビングのほかにもうひとつある個室を寝室にしているのだろう。