「私のお土産、チーズフォンデュになったのね!」
「はい。一種類じゃなくてたくさんのチーズが入っていたので、チーズフォンデュに向いていたんです」
「おいしそう……。ホットワインに合いそうね。こっちの料理はなあに?」

 手羽元ということ意外わからなかった鶏肉料理を指差す。

「タンドリーチキンです。クリスマスといえば大きなチキンかなと思ったのですが、それだと食べながら飲むって感じにならないと思って、手羽元で作ってみたんです」
「タンドリーチキンって、よくインドカレー屋にあるアレよね? 家で作れるなんて初めて知ったわ」
「簡単ですよ。ヨーグルトとか、カレー粉を入れたタレに漬け込んで、オーブンで焼くだけです。インドカレー屋さんの本格的な味には及ばないかもしれませんが」
「ううん、そんなことない。すごくおいしそう。もしかしてこれも、塩見家の定番メニュー?」
「正解です。クリスマスのごちそうといえば、大きな鶏もも肉じゃなくてタンドリーチキンだったんです」

 ひととおり料理の説明が終わって腰を落ち着けたあと、ふたつのシャンパングラスに私の持ってきたスパークリングワインが注がれる。自然と塩見くんと目が合って、「乾杯」とグラスを合わせていた。