「駅まで来ちゃいましたけど、どうします? 歩いても行ける距離ですけど」
「歩きたい気分かな。なんかまだ、気分が高揚してて」
「わかります、僕もです」
同じ興奮を共有した者同士の一体感がここにはあった。たとえば、超大作の映画を見たあとのカップルのような。
私たちは弾む足取りで白い息を吐きながら、銀座の街を通り抜ける。新橋に入ると、街並みもオフィス街に変わってきた。
新橋駅前ビルは、地下が丸ごと大きな飲み屋街になっている。いつ来ても仕事帰りのサラリーマンでにぎわっている場所だ。昭和っぽいレトロな店構えの店が多く、タイムスリップしたような気持ちが味わえる。
「でも塩見くん、新橋なんて来るのね。なんだか意外」
駅前ビルの扉をくぐりながら、塩見くんに話しかける。
新橋といえばサラリーマンの聖地だし、彼の上品なイメージに合わない。創作料理を出してくれるオシャレな居酒屋で飲んでいるイメージなのに。
「社会人になったばかりのころ、先輩がよく連れてきてくれたんです。サラリーマンになったんだから新橋で飲まないとダメだろって。まあ自分は飲めないから、いつもウーロン茶だったんですけど」
その感覚はよくわからないけれど、都内でOLになった女子が表参道での女子会に憧れるようなものだろうか。
「歩きたい気分かな。なんかまだ、気分が高揚してて」
「わかります、僕もです」
同じ興奮を共有した者同士の一体感がここにはあった。たとえば、超大作の映画を見たあとのカップルのような。
私たちは弾む足取りで白い息を吐きながら、銀座の街を通り抜ける。新橋に入ると、街並みもオフィス街に変わってきた。
新橋駅前ビルは、地下が丸ごと大きな飲み屋街になっている。いつ来ても仕事帰りのサラリーマンでにぎわっている場所だ。昭和っぽいレトロな店構えの店が多く、タイムスリップしたような気持ちが味わえる。
「でも塩見くん、新橋なんて来るのね。なんだか意外」
駅前ビルの扉をくぐりながら、塩見くんに話しかける。
新橋といえばサラリーマンの聖地だし、彼の上品なイメージに合わない。創作料理を出してくれるオシャレな居酒屋で飲んでいるイメージなのに。
「社会人になったばかりのころ、先輩がよく連れてきてくれたんです。サラリーマンになったんだから新橋で飲まないとダメだろって。まあ自分は飲めないから、いつもウーロン茶だったんですけど」
その感覚はよくわからないけれど、都内でOLになった女子が表参道での女子会に憧れるようなものだろうか。