地下鉄に乗って銀座に着くと、目的の百貨店は目の前だ。中に入って地下一階を目指すと、乗ったエスカレーターの先に見慣れた後頭部を見つけた。
サラサラの黒髪ストレート、姿勢のいい立ち姿、スーツの上に着た、上品なグレーのウールコート。顔を見なくてもわかる。間違いなく、塩見くんだった。
どうしてここに、塩見くんが?
エスカレーターを下りたあと小走りになって、「塩見くん!」と肩を叩く。振り返った塩見くんは、意表をつかれたような表情を浮かべていた。
「先輩……。どうしてここに?」
私は塩見くんがここにいることが意外だったのに、塩見くんのほうが私と会ったことに驚いているみたいだった。
ほかのお客さんの邪魔にならないよう壁際に寄りつつ、質問に答える。
「私は、クリスマスコフレの発売日だから、市場調査に。塩見くんこそ、どうしたの?」
「実は僕も、コフレの売れ行きが気になって……」
そう告げてコスメコーナーの方向に視線を向けながら、きちっと巻かれたバーバリーチェックのマフラーに手をかける。定番のキャメルではなくベージュのチョイスが塩見くんにぴったり似合っていた。
サラサラの黒髪ストレート、姿勢のいい立ち姿、スーツの上に着た、上品なグレーのウールコート。顔を見なくてもわかる。間違いなく、塩見くんだった。
どうしてここに、塩見くんが?
エスカレーターを下りたあと小走りになって、「塩見くん!」と肩を叩く。振り返った塩見くんは、意表をつかれたような表情を浮かべていた。
「先輩……。どうしてここに?」
私は塩見くんがここにいることが意外だったのに、塩見くんのほうが私と会ったことに驚いているみたいだった。
ほかのお客さんの邪魔にならないよう壁際に寄りつつ、質問に答える。
「私は、クリスマスコフレの発売日だから、市場調査に。塩見くんこそ、どうしたの?」
「実は僕も、コフレの売れ行きが気になって……」
そう告げてコスメコーナーの方向に視線を向けながら、きちっと巻かれたバーバリーチェックのマフラーに手をかける。定番のキャメルではなくベージュのチョイスが塩見くんにぴったり似合っていた。